2010年03月27日

EPA看護師 国家試験に3人が合格

日本語教師KENも注視してきた、『EPA看護師』。

26日に看護師国家試験の合格者が発表されたそうで、3人が合格という記事が新聞にでていました。まずは心から、その3人の方の努力に敬意を表したいです。

が…。

254人が受験して、合格者はたったの3人…それも日本人なら合格率90%程度の看護師試験のほうで。

合格したフィリピン人の方は、『毎日仕事の傍ら、深夜1時過ぎまで猛勉強し漢字の習得などに励んだ』(ニュースより)そうです。これほどの努力をしてさえ3人という結果ですから、さらに難易度の高い介護福祉士の試験のほうは、どうなってしまうんでしょう…。

もともと『制度自体が崩壊しかねない』という批判もでていましたが、これは本当に介護福祉士の試験合格者ゼロ、ということになる可能性が高そうです。このために、2010年度には9億円の予算が計上されているというのに…。

外国人看護師について、『日本人看護師の労働環境改善が先だろ』というような批判があることは、日本語教師KENも知っています。

私は介護師の現場については何も知らないので、そのへんはどうこう言えませんから、ひとまず脇に置いときます。が、日本語教育という観点からのみ見れば、やっぱりこのEPA看護師は制度そのものがマズ過ぎる、というのが率直に思うところです。

インドネシア・フィリピンの看護師候補の方々、彼・彼女らの日本語教育の現場いいるAOTS、そして病院スタッフの方々。皆さん非常な努力をされているはず。どのような思いで、この制度を見ているのでしょうか…。


以下、毎日新聞3月27日付の記事より引用

<EPA看護師>来日研修生、254人中3人合格 超難関、日本語が壁


◇日本人は9割合格

「患者さんに感謝してもらえるよう日本で働きたい」。26日、看護師国家試験の合格者が発表され、日本で研修中のインドネシア人男女各1人とフィリピン人女性1人の計3人が合格し、それぞれ夢を膨らませた。経済連携協定(EPA)に基づき来日した候補者として初の看護師誕生だ。だが、日本語がネックとなり針の穴のような狭き門。多くが不合格で帰国すると国内外で批判が高まりそうだ。

合格したのは、インドネシア人のヤレド・フェブリアン・フェルナンデスさん(26)=新潟・三之町病院▽リア・アグスティナさん(26)=同▽フィリピン人のラリン・エバー・ガメドさん(34)=栃木・足利赤十字病院。

試験は先月21日にあり、両国の看護師候補者のうち約7割の254人が受験した。日本人を含めた看護師の全国平均合格率は89・5%だった。

「すっごくすっごくうれしいです」。会見したアグスティナさんは両手を大きく広げて喜んだ。母国の弟と妹にメールで報告したという。フェルナンデスさんも「病院の人の応援があって合格できた。感謝の気持ちを返したい」と話した。2人は母国で看護師を2〜3年経験し08年に来日した。午前中はベッドシーツの交換などの仕事をし、午後に約4時間、病院スタッフ1人がついて試験勉強や日本語の指導を受けた。

昨年2月の国家試験では受験した82人が全員不合格で、来日3年以内に合格できなければ帰国となる。第1陣(08年8月)のチャンスはあと1回だ。アグスティナさんは「みんな一生懸命勉強するので3年の期限を延長してくれませんか」と話した。

フィリピン人で唯一合格したガメドさんも母国で8年の看護師経験がある。毎日、深夜1時過ぎまで猛勉強し漢字の習得などに励んだ。「多くの患者さんに感謝してもらえるように精いっぱい働きたい」。4月に日本赤十字社の正式職員として採用予定で「来年は大勢の友人が合格することを祈っています」と話した。

  □   □

EPAの受け入れをめぐっては、現場の病院・施設まかせで「日本語支援が不十分」(平野裕子・九州大准教授)という指摘があった。インドネシアのマルティ・ナタレガワ外相も今年1月、岡田克也外相との会談で「漢字が難しい試験を改善してほしい」と求めている。

国は昨年から日本語学習教材の開発や過去の試験の翻訳を始め、2010年度は今年度に比べ10倍の予算(約9億円)が計上された。ただ「褥瘡(じょくそう)(床ずれ)」など難しい用語の言い換えの検討を始めたばかりだ。

安里和晃・京都大准教授(移民政策)は「本国では一定のスキルがあるのに、不合格で無資格のまま大量帰国ということになれば、EPAの制度そのものが問われかねない」と話す。

……………………………………………………………………………

  ■ことば

 ◇EPA

 2国間の経済連携を強化するための協定で、看護師・介護福祉士候補者の受け入れも含まれる。インドネシア人候補者は08年8月から、フィリピン人は09年5月から受け入れ、合わせて看護師候補者約360人、介護福祉士候補者約480人が来日。半年間の日本語研修の後、日本の病院・施設で働きながら国家資格取得を目指す。介護福祉士は実務経験3年が必要で1回しか受験できない。




posted by KEN at 19:18| Comment(6) | 日本語教師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
再チャレンジのチャンスがないなんて、どういう理由なんでしょうか?今、日本の格差を減らすためにも、再チャレンジのできる社会が必要だということはよく聞きますが…。やはり外国人は別という、いわゆる島国根性というものなんでしょうか。
ベトナムの友達がフィリピン人の住み込みベビーシッター兼お手伝いさんを雇っているというのを聞いて、日本でもそういった人がいれば…と思うのは私だけではないはずです。
Posted by 仕立屋店長 at 2010年03月27日 22:46
ベビーシッター兼お手伝いさんと、看護師・介護福祉士では、専門性があまりにも違うので一緒くたには出来ないかとは思いますが…。

「再チャレンジのチャンス」に関しては、介護福祉士の場合日本人でも実務経験3年以上が受験資格として必要なわけでして、VISAの関係上、実質1回しかチャンスがないという理由です。

Posted by KEN at 2010年03月28日 02:08
わたしは日本語のボランティアで
インドネシア人の女の子2人を担当しています。
彼女たちも今回の試験を受け、落ちてしまいました。
一緒に問題を解いてみましたが、
日本人のわたしでも難しい漢字・熟語の
オンパレードでした。
もっとやさしい日本語に言い換えるなど、
もう一度考えて直して欲しいものです。

Posted by miho at 2010年03月28日 22:19
そうですねぇ。

そもそも日本看護協会が、EPA看護師受け入れ反対なんですよね。

日本看護協会が主張している4条件
1.日本の看護師国家試験を受験して看護師免許を取得
2.安全な看護ケアが実施できるだけの日本語の能力を有する
3.日本で就業する場合には日本人看護師と同等以上の条件で雇用
4.看護師免許の相互承認は認めない

この条件ですと、EPA看護師を受け入れるメリットは、ゼロどころかマイナスです。

受け入れる側のコンセンサスがまだまだできていないので、やはり現状では制度自体に問題がありすぎだと感じます。

Posted by KEN at 2010年03月29日 12:14
先日、丁度AOTSの方の講演をお聞きしましたが、
あんな難しい試験を短期間で3人も受かったのが奇跡だとおっしゃっていました。私も教えている立場なので、よくわかります。その3人が特例だとさえ言えますよね。
Posted by RARARAさん at 2010年04月02日 01:23
RARARAさん、コメントありがとうございます。

奇跡、ですか。よくわかりますが…

このために費やされた汗と時間と、億単位の我々の税金。それを考えると、奇跡じゃ困りますよね(笑)。

現状のままなら、何年かやって成果はほとんどないまま、「はい、ダメでした」で人知れず消えて行く、というのは目に見えているのでは。

何百人もの人の努力が無駄になり、何億円ものお金が、何の努力もしていないどこかの誰かさんの懐に入って行く…。馬鹿馬鹿しいにも程があろうというものです。

こういうのは事業仕分けの対象にはならないんですかね^^。
Posted by KEN at 2010年04月02日 02:26
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